★HABITAT:住まいにひとこと:新しい日本の庭園スタイルを★

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No.037 新しい日本の庭園スタイルを (10/06,1999) 美里学

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 英国の伝統的庭園が「イングリッシュガーデン」で、日本の場合が「日本庭園」といえるのだが、イングリッシュガーデンが流行ってなぜ日本庭園が流行らないかということを考えてみると、実は日本庭園はすでに流行っているというより生活に馴染んでいるから、流行廃りとは無関係といえるのかもしれない。

 日本庭園というと、なにか固苦しい庭のように思われるかもしれないが、春の新緑や秋の紅葉を楽しんだり、風にゆれる葉や水の流れの音を心地よく感じることも、古くから日本人が楽しんでいることのひとつで、現代人であっても無意識に日本庭園を楽しむ感覚を持ち合わせているといえるのではないだろうか。

 また、大きな公園などでは昔から春と秋には植木市が行われたりしており、休日には多くの人でにぎわったりもする。最近ではコニファー(針葉樹)類やアイビー類、ハーブ類なども扱われるようになっているが、恒例的に行われているこれらの市も、四季のある日本の中で、植物を暑くなる前に植えて夏の暑さに耐えられるようにし、寒くなる冬の前 にしっかりと根を育てておこうという、じつに理にかなった市といえるのである。

 さて私は、ブームといわれている(?)今日のガーデニングのあり方には問題を感じている。それは、一部の日本人がもてはやしている「ガーデニング」がイングリッシュガーデンというひとつのスタイルをモデルとしている限り、その模倣のレベルを脱することができていない、という点である。そして、英国の伝統文化をよく理解せずに見かけだけをまねしているため、結果として日本庭園のように長続きしないのではないかと考えられる点である。土や植物に親しむことが再評価されるのはとても嬉しいことだけに、そうなって欲しくはないのだ。

 例えば、レベルの低い模倣のひとつに、頻繁に使われているラティス(lattice、これはトレリス trellis とも呼ばれているが、格子づくりの垣を指す)があげられる。ハウスメーカーの営業マンから「こんな雰囲気がいい」と見せられる写真によく登場するし、雑誌の特集などでも好んで用いられる。

 そもそもラティスは英国では過去のものとなっており現在では好んでは使われていないことを、果たしてエクステリアメーカーの商品開発担当者や施工業者の設計担当者は知っているのだろうか。それはともかく、英国風だから、いま流行っているからなんとなく、ではなく、植栽や建物とのバランスからいってこういう点でマッチするから使いましょう、という説得力のある提案が果たしてなされているのかどうか疑問である。そうしたうえで自分で納得して取り入れるのでないと、結局は飽きてしまうことにつながる。

 また、エクステリアメーカーが、管理面やローコストを特徴としてつくっている樹脂製のラティス、また曲線デザインのラティスなども、私の意思に反して用いらることがあり残念に思うこともある。

 このように感じているのは私だけなのだろうか。ラティスを用いるのが決して悪いということではないので誤解してほしくないが、用いるにしても全体のバランスやデザイン性を考慮してもらいたいし、メンテナンスは大変かもしれないが、やはり本物の木を使ったラティスの方が年月が経つにつれ味わいを増し、それもガーデニングの楽しみのひとつとながるのではないかと思うのである。

 室内の例からみても、生活スタイルが洋風化してきたにもかかわらず、和室のない住宅など少数派であるように、エクステリアや庭の全てをイングリッシュガーデンにしても決して満足できるものにはならないといえる。単純に英国の庭の模倣や和洋折衷案を採用するのではなく、自分たちが見て育ったこの環境を大切に想い、慣れ親しんできた日本庭園を現代風にアレンジしてみることが、これからの街並みや景観に馴染む新しい日本の庭園スタイルとなるのではないかと思うのである。■

 

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