★HABITAT:住まいにひとこと:木造校舎★

-
ハビタット
HABITAT

* CONTENTS *

feature articles
〜特集のページ〜

住まいにひとこと

こんなモノが欲しい!

Q&A

HOME


(株)メディアフォレスト
habitat@mediaforest.com
 
[メニューへ戻る]


No.038 木造校舎(10/11,1999) 津村喬

    ご意見はこちら



全国の小中学校教員を対象に「いらいら」「慢性疲労」「身体不調」などの程度を、コンクリート校舎と木造校舎で差があるかどうか調べたところ、どの項目についてもコンクリート校舎の教員のほうが約二倍の数値を示した。ただでさえ問 題が起こる学校という場であるが、いらいらや疲れが少ない木造校舎にするという環境からの改善は価値ある投資かもしれない。

 学校というと木の床に引いた油の匂いがまず思い出されるが(ちょっと前に入った神保町の古い喫茶店がまだこの匂いがしてなつかしかった)、今の学校はどこも鉄筋コンクリートになって、そんな風情はどこにもない。

 2月4日付『産経新聞』によると、梅と備長炭で知られる和歌山県南部川村の児童87人の村立清川小学校は平成6年度に木造瓦葺きの校舎を新築した。以前の校舎も木造で、鉄筋に立て替える声もあったが、愛着のある木造がいいという声が強くて、時流に逆らって木造にし、松、杉、檜で建てた。コンクリートの校舎は結露がひどくて廊下で転倒したりすることもあるが、ここは湿気もほどよく木が吸ってくれ、暑さ寒さがしのぎやすく、子供も教員もくつろいだ雰囲気で過ごせるという。机と椅子も木製で、入学したときに自分たちで組み立てて使っていく。高さは調節できて卒業まで「マイデスク」が使えるという。

 鹿児島大学の服部芳明助教授が、全国222の小中学校教員を対象に「いらいら」「気力減退」「慢性疲労」「身体不調」などの程度を、コンクリート校舎と木造校舎で差があるかどうかの調査をしたが、どの項目についてもコンクリート校舎の教員のほうが約二倍の数値を示した。上記、南部川村の例は時流逆行でなく時流先取りだったのかも知れない。

 この疲労度、単に「木の安らぎ、あたたかさ…」とかいう心理的なものではなく、科学的にもわかっている部分は多い。第一に、本誌でもたびたびふれてきた、木から揮発するフィトンチッドは、森林浴でおなじみのようにリラックス効果があり、また殺菌作用もある。第二に、木の床の固さは人間が歩くのにちょうどいい固さであるといわれている。コンクリートのように堅すぎると足へ返ってくる衝撃が強いし、ふかふかのカーペットのように柔らかすぎると力が吸収されてしまい、どちらも歩くときにくたびれてしまう。その点、木の床は程良い弾力性で歩行のときの疲労は少ない。第三に、上に書いたように木は程良い湿度を保ってくれる。湿気が多いときにそれを吸収してくれるだけではなく、乾燥しすぎると今度は水分を放出してくれる。

 その他、木には人に優しい幾つものメリットがあるといわれているが、これらがトータルになって疲れにくい環境を作り出している。いいことずくめの木だが、もちろん、値段が高い、メンテナンスが面倒など問題もある。学級崩壊対策は校舎の建て直しからと考えるなら、意義ある投資であると思うがどうだろうか。■

本記事はメールマガジン『Navigator』No.65から転載しました。

 

    ご意見はこちら

津村喬(つむら・たかし)
■プロフィール
 1948年東京生まれ、大津市在住。学生のころから評論活動を続け現在に至る。また1994年、NHK教育テレビ「気功専科2」で講師を務めるなど、気功や東洋医学・代替医学の普及につとめる。1996年より、メールマガジン『Navigator』を創刊、常任ライター兼編集主幹に。同誌で、高野孟とともに、政治、経済から環境、教育問題まで、幅広い分野で評論を展開。著書に『毎日できる東洋健康法』『気脈のエコロジー』『脳力トレーニングの方法』『メディアの作り方』『神戸難民日誌』『快脳気功』など多数。



▲TOP