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No.049 どうなる、どうする、日本の住まい(上)
〜悲しき住宅事情 (01/18,2000) 「ハビタットEメール」スタッフ・川口晋
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1999年を振り返り、これからの日本の住まいを考えるヒントにしてみたい。本当は、こういう回顧と展望は年末に行うのがふさわしいのだが、この時期になってしまって少々間が抜けた感がある。しかし、やらないよりやったほうがいい。なにより私自身の頭の整理になる。簡単に手法を説明すると、新聞記事を拾って、こんなことがあったけど…という感じで、事実関係を紹介して、それに対する感想を述べてみたい。私は住宅の専門家でも、経済の専門家でもないので、分析めいたことをするつもりはない。私たちのポリシー「消費者本位の住まいづくり」から、一消費者として書いてみたい。よって、多少愚痴っぽいし、文句言いになるかもしれないがご容赦いただきたい。これを読んで、「それは、そうじゃなくてぇ…」という意見があれば、どんどんお寄せ頂きたい。
▼それでも高い日本の地価
バブル崩壊後、土地が値下がりを続け、商業地も住宅地も下落を続けてきた。「資産インフレ」と言われたバブル崩壊の当然の帰結である。しかし、それでも、日本の土地は高いし、したがって住宅も高い。
1999年5月13日付『日本経済新聞』に「30万ドルで買える住宅国際比較」という記事が載った。それによると東京で30万ドルで買える住宅の広さはメキシコ市の6分の1だそうだ。これは世界34都市圏を対象に、ある不動産業者が調べたもの。東京圏が世界一住宅取得が難しそうと思いきや、香港、ロンドンのほうが30万ドルで買える住宅の床面積は狭い。ただし中身をみると、東京圏の典型的物件は千葉県浦安市の築15年の一戸建てで、広さは100平米、都心まで40分。一方、日本より床面積が狭いロンドン圏の住宅は、なんと280平米の庭付きで(!)都心まで20分と、こちらのほうが条件がいい。
この手の調査は国土庁もやっていて、98年1月時点の世界主要都市の住宅価格調査が昨年9月に発表されている(1999年9月2日付『日経』)。それによると、東京はダントツ1位で、指数で東京を100とすると、ロンドンが67.3、ニューヨークは28.5となっている。
GDP世界第2位(第1位は米国)、一人あたりGDPもスイスに次いで第2位の経済大国なのだから、仕方ないということはある。それに加えて、この手の世界との物価比較は、為替相場に左右されるので鵜呑みしてはならないという指摘もある。しかし、それを踏まえた上でも、住宅取得費が平均して年収の6.1倍という数字は(98年度調査、年金住宅福祉協会調べ。1999年7月5日付『日経産業』)、日本における住宅取得の大変さを物語っている。
▼住宅減税と住宅ブーム
それでも昨年は優遇税制が奏功し、マスコミは「住宅ブーム」と騒いだ。地価下落にともなう分譲価格の値下がりとこの住宅減税で、不動産業者は空前絶後のチャンスとばかりに攻めに出た。一昨年と打って変わって新聞の不動産関連の折り込みチラシの量はどんどん増えていった。本当にチャンスなのか。実際、住宅金融公庫によると、99年4月時点の分譲価格は92年の調査以来最低を記録している(1999年9月1日付『日本工業』)。しかしその一方で「まだまだ地価は下がる」「5年後には地価は今の半分」といった類の週刊誌の見出しもよく見かけた。
つい先日発表された、ミサワホームグループのリサーチ会社がおこなった大都市圏の住宅地価格調査によると、首都圏、大都市圏ともに地価の下落率は横ばい、もしくは拡大傾向であるという。一部の人気住宅地を抱える地域を除いて、地価下落は止まっていない(1999年12月1日時点の地価、2000年1月13日『日経』)。
「空前絶後」のチャンスで家を買った人が、果たして得なのか、そうではないのかは、後でわかることだろう。ここで言えるのは、当たり前のことだが、これは住宅政策と呼べるものではなく、景気刺激策の一つに過ぎない、これで住宅事情が何か改善していくわけではない、ということぐらいだ。
▼所有か賃貸か
以上、家を買うことを前提として話を進めてきたが、住むためには賃貸という選択肢があることは言うまでもない。一昔前なら「賃貸は持ち家までの仮の住まい」的な考えが優位だったが、最近はそうでもないのではないか……と個人的には思っていた。がしかし、相変わらず持ち家志向が強いことが昨年の国土庁の調査で分かった。この調査では、資産運用として所有と賃貸どちらか有利かという調査以外に、住居としては所有と賃貸どちらがいいのか、という調査もなされた。それによると、住居としては土地・建物とも所有したい、との答えが83%を占めた。これは調査開始以来
あまり変わっていないという(1999年5月17日付『朝日新聞』)。
1年以上も前に、インターネット上で行われた「あなたは持ち家派、それとも賃貸派」とかいうアンケート調査を目にしたことがある。そこでは、上記国土庁調査よりももっと賃貸派が多かった記憶があり、それで私は「ふーん、みんなの意識も変わっていきているのかな」と思っていたのだ。このインターネットでの調査における賃貸派の理由は「ローンに縛られたくない」「ローンを組んで払えるか将来が不安」といったローンに関するもの以外に、「その場所に縛られるのがいや」という意見が多かった。確かに一般的には家を買うのは一生に一度の買い物であるので、「お隣が、徹底的に相性が合わない人だったりしたら、もう最悪」とかいう意見はとてもうなずけるものがある。これに対しては持ち家派の意見は「将来の生活の安定」とかいう従来通りの凡庸なものしか記憶に残っていない。
ともあれ、日本人の持ち家志向は相変わらず強いのだが、一体そのルーツはどこにあるのだろうか。そのような志向性を国民に植え付けたのは何なのか。(この項、つづく)■
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