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No.054 「箱もの」事業(04/01,2000)
美里学
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大規模公共事業のつけが、市民への行政サービスの低下という形になって現れ始めている。
バブル景気も去り、自治体の税収も減少して久しいにも関わらず、景気回復を理由に公共事業に税金が使われている。特に「箱もの」と呼ばれる建築物は多く、競技場、文化施設、公立大学、xx会館など大きなプロジェクトも相変わらず行われている。
もちろん「箱もの」と呼ばれる建築物にも必要なものはあるのだが、票につながる建設業界へのサービスとして国からの補助金を取り、建設させることだけを優先させ、多くの一般市民に跳ね返るであろう施設の運営や管理等の維持費【ランニングコスト】の負担の大きさを考えない政治家も少なくない。
また、阪神大震災の復興をみても、高速道路や港が早く復興したにも関わらず、未だに満足のいく生活に戻れていない被災者がおられることでも、国や自治体が公共性の高い大きな事業にどれだけのウエイトをおいているかがよく分かる現象ではないだろうか。
さて、建築物は建設費以外に『将来のランニングコストまで考えた総コスト』を考慮しておかなければ、最終的にコスト負担が大きくなっていたという結果になりかねない。住宅のような小規模な建築物でも冷暖房などの設備機器は省エネタイプを選ぶように、大規模建築物になるほど、そして公共性が高くなるほど、なおさらよく検討しておかなければならない。
しかし、最近の住宅業界では、単に「箱もの」といえるような商品が、新商品として発表されている。環境共生住宅、高齢者対応住宅、シックハウス対応住宅などといっては設備機器や仕様材料に頼ったような住宅メーカーの企画商品は、中味検討よりも外観・設備優先という点で「箱もの」と言えるのではないだろうか。
暑い寒いも自然の恵みと考え、床に段差があるのも運動と思うなら、公営住宅や住宅メーカーが推奨、商品化しているような住まいは、人間の体力や免疫力を低下させ、その結果、医療費が膨らむとも考えられる。
できるだけエネルギーを無駄にしないように自然の力を利用する生活が環境共生であり、できることならいつまでも健康で介護機器に頼らないような生活を心がけることが高齢者対応や本当の健康配慮ではないかと思う。
人が生活していく上では、衣・食・住のバランスが大切で、住宅を供給する側の箱物の性能がいいだけでは問題解決になっていないことに気付かなければならない。将来、介護が必要になるだろうといった考え方よりも、いつまでも健康で暮らしていくことを念頭にした生活設計が大切といえるのではないだろうか。■
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