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No.056 手抜き工事(06/11,2000)
美里学
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昨年、東海村放射能漏れ事故やH2ロケットの打ち上げ失敗などの事故が相次いで発生した。東海村放射能漏れ事故は、正規手順書の他に裏マニュアルが使用されていたというし、H2ロケットも技術面の他に、本音は六割しか成功の自信がないのに、それを直視しなかったという一面があるという。
山陽新幹線のトンネルのコンクリートがはがれ落ちてきている事故も同様だ。この工事は土地の取得に時間がかかり、根本的に工事期間が足りなかった。予定通りの開通には手抜き工事も暗黙の了解という、一部の工事関係者や旧国鉄関係者の証言発言も取り上げられている。
少し前の新聞に、「日本の技術者は、会社に対しての責任感を持っていても、社会に対しての責任感を持っていない」という記事が載っていた。サラリーマンである以上、組織に従うのは止むを得ないことだが、組織が社会に反する事でも利益や対面を重要視するということが一番の問題と言えるのではないだろうか。
私もサラリーマン経験者であるが、このような体質の中で技術者が受けた影響が、手抜き工事や欠陥住宅となって表れていることは、断言してもいいだろう。【主導権は誰?】でも紹介したように、ビルダーが、売上げのことを優先したような建売り住宅やマンションも、ユーザーのニーズには応えられていない、一種の手抜き工事と言えるのではないだろうか。
住まいにおける手抜き工事について、実際に裁判になっているケースの他に、まだ気付いていないだけというケースも含めると、一体どれ位の件数があるのだろうか。
手抜き工事=欠陥住宅とは一概に言えないが、欠陥住宅になるかならないか、ぎりぎりのところで工事をしているビルダーは幾らでもある。モデルルームだけは立派な仕様で、ユーザーの夢がかなうようなつくりだが、実際には、自由設計だの豊富なオプションだのと唱えて、基本的な標準品は最低レベルに近い物を設定してあることも多い。
必要以上に時間や費用をかけることはないが、一般ユーザーが気付かないところで手を抜こうとするのはたちが悪い話である。
だからその当たりの見極めが必要となってくるのだが、なかなか素人には判断が困難といえる。専門家からひとつ提言するなら【ある程度いいもので納得できるものを得るには、考える時間が必要】ということである。
今、2001年6月末までに入居すれば、ローン残高に応じて15年間最高600万円近くの所得税が控除される制度(住宅借入金特別控除)に加え、住宅金融公庫の基準金利がまだ比較的低いことが、住宅の購入に拍車を掛けてきた。
販売に減速感が出ているとはいえ、マスコミやビルダーの発言にはくれぐれも注意してもらいたい。15年間の所得税控除や低金利ということだけに惑わされないで、それ以上の長い期間、生活することをよく考えて行動て欲しい。手抜き工事の住まいを購入させられてしまう確率の高い時期でもあるのだ。
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