★HABITAT:21世紀の住宅事情★

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No.089 21世紀の住宅事情
  −新規着工戸数の減少による住宅産業の先細り時代− (1/21,2001)  美里学

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 これまで住宅業界は、その景気の判断を住宅の新規着工戸数で判断してきた。バブル景気の87年から90年にかけては160万戸を維持していたものの、崩壊後の91年度には140万戸を割った。しかし、徐々に回復させ消費の引き上げ前の96年度には再び160万戸を突破した。

 さて、建設省の統計では昨年の5月以降4ヶ月連続で前年同月比マイナスとなっており、今年度の123万戸程度の目標達成も微妙といえる状況になってきている。景気が回復する兆しが見えてきたというのも企業の設備投資に動きが見られるようになってきただけで、リストラや老後の不安を感 じながらの個人消費は依然低迷したまま。低金利とはいえ高額な借金をしてまでも住宅の購入には踏み込めないという状況といえる。特に、従来なら40〜50歳台で需要があった建て替えによる注文住宅が、昨年度に比べ5 %程度も減るという見通しは大きなマイナス要因といえる。

 ところで、アメリカを例に挙げ住宅の着工戸数の問題を考えると、年間 140〜150万戸といわれているアメリカに対して、人口比率が半分である日本の120万戸というのは建てすぎであって、まったくおかしな話といえるのではないだろうか。このことは、良質な住宅を供給することが目的でな ければならないはずの住宅政策が、着工戸数に主眼がおかれ、質の向上よ りも数を維持することで業界及び関連産業の発展や景気の安定化を図ろうとしてきた政策の結果ともいえる。

 特に、バブル景気以降の土地の値下がりやその後の不況により、売却してもローンを返却できない者や収入の減少に伴い返済が不可能になり自己破産を申請する者、そして年間3千人ともいわれる住宅ローンの返済がら みの自殺者など、消費者にとっては持ち家政策の推進が必ずしも正しかったとはいえない状況となってきている。

 この21世紀には、少子高齢化による二世帯同居の増加、リフォームの普及、住宅の耐久性アップそして良好な中古市場の流通等により100万戸を割り80万戸台になるやもという日本の住宅産業先細りの時代が早々にもやってくるだろう。すなわち、売上げが目先だけの住宅メーカーや受身の施工業者にとっては根本的な経営改善を余儀なくされる時代の始まりといえる。

 売上げ1兆円を超える住宅メーカーも地域に根差す地元工務店も、この新規住宅着工戸数という数字の確保をいつまでも業界の景気判断基準とし推進するような政策に便乗して、着工戸数や売上げだけに振り回されているようであれば、限られた需要をめぐる生存競争には勝つ事ができないといえるだろう。

 また、消費者も単にマイホームの取得を目的とするような考えだけでは、 生涯の安心が保証されるという単純な時代でもなくなるだろうことも想定した上で、これからの住まいづくりを考えていかなければならないと思う。■

 

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