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No.115 購入者の資金力と供給側の対応  (12/14,2001)  美里学

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 少し前の、日刊工業新聞で「最近の30歳代の住宅購入希望者は、資金が乏しい割にわがままだ」というコメントをしていた住宅産業の研究者がいた。

 しかし、いいものをより安くというのは消費者なら誰もが思うことであって、それをわがままという言葉で済ませるのは供給側を主体として物事を判断しているが故ではないのだろうか。また、若い購入希望者には振り回されるという住宅メーカーの愚痴に対して、「予算のない人には営業にかける時間を節約するなどの工夫が必要」というようなコメントもしているが、このようなコメントも何とか努力して良い住まいを購入しようとしている消費者を馬鹿にしている発言といいたい。

 ところで、何故このような愚痴が住宅業界から出てくるかということを消費者の方にも是非考えてみていただきたいのだが、住宅メーカーの多くが設計施工というシステムで住宅建設を請負ため、設計の手間は出来るだけ省いて(別の言い方をすれば経費を省いてともいえるだろう)早く契約し売上げを上げたいという考えが根本にあるからなのである。

 それでは、設計と施工が別だとどうだろうか?設計事務所に図面を依頼し工務店に建ててもらうという手法だが、一般に設計事務所からは工事請負い金額の○%というような契約で設計料を請求されることになる。ということは建物の規模は小さくてもいいものをつくろうとすれば設計手間も建設コストもかかるし、逆に大きくてもこだわりがなく単純なものであれば楽でコストも安くあがるということになる。設計業務として手抜きをしようと思えば後者を選ぶべきだが、そのようなことばかりしていると当然のことながら設計事務所としての仕事の依頼は少なくなる。要するに、結果として信頼を得るためには良い提案が必要であり、設計の時間を節約するようなことばかりしていると設計事務所としては食って行けないことになる。

 現状では、「予算のない人に対しても高級顧客と同じ対応をしていたのであれば割に合わない」という考えを住宅メーカーをはじめ設計施工の工務店の多くが持っていることだろう。しかし、この考えが住宅業界の概念としてあるのなら良い住宅は金持ちのためにあり、金のない者は良い家を望めないということになってしまう。

 設計施工が悪いというわけではないが、消費者の立場にたち少しでも満足を与える住まいづくりを住宅業界として目指すことが必要であり「予算のない人には営業にかける時間を節約する」という単なる物売り的な考えなど決して認めるべきではない。

 最後に、設計事務所に依頼する方が割高のようにも思われがちだが、決してそのような設計事務所や工務店ばかりではないという事も付け加えておきたい。■


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