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No.122 低価格住宅が住宅業界に及ぼす影響 (4/5,2002) 美里学
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新しい年度に入ったが、昨年度は住宅業界では、戸建注文住宅に加え、分譲住宅の景況感も悪化することで、住宅市場全体の低迷が浮彫りになってきた。そして、そんな中戸建住宅メーカー各社は売上げ維持のため住宅の低価格化を加速させてきたのだ。
ミサワホームが従来品より3割安い、1坪当たり25万円からという木質系プレハブ住宅をヒットさせたのをはじめ、エス・バイ・エルも1坪当たり20万円台の住宅を販売。大手企業だから最低限の見た目の格好は何とかつけるかと思うが、どこかでコストダウンせざるを得ないこのような低価格住宅は、最近のデフレの波が住宅業界にも急速に押し寄せている影響といえる。しかし、低迷する住宅市場を低価格化で乗り越えようとする住宅メーカーの戦略は果たして正しい選択といえるのだろうか?
日本の住宅は、床面積だけを見れば欧州並みの水準になってきたものの、欧州の半分程度の30年前後で建替えなければならないということから、質については比べ物にならないほど低いといわれている。そして、そのことが資産としての価値の低さにもつながり、中古市場の活性化などにも影響しているといわれている。要するに、低価格住宅の推進は良質な住まいのストックどころか住環境の低下にもつながりかねない問題を抱えているともいえるのではないかと思う。
住宅市場は、地場の工務店が手がけるものが8割程を占めているため、プレハブ住宅のような住宅メーカーが伸びる余地はまだまだあると、大手メーカー各社の経営陣の発言は今だ強気で、地域密着型の中小工務店など相手にしていないとも受けとめられる。しかし、経費率の高い住宅メーカーが地場の工務店と価格面で競合しようものなら、利益率の見直し、或いは質を落すという壁を乗越えなければとうてい無理な話といえる。また、中小工務店であっても本気でサービス向上に努めれば、本部の経営陣の顔色を伺いながら事業を行わなければならないような住宅メーカーは太刀打ちできなくなるのは当然で、いくら低価格だからといってそう簡単にはシェアを上げることは不可能ではないかと思うのである。
住宅の低価格化は一見、住宅メーカ側の売上げ維持のための戦略と消費者側のニーズが一致した良い傾向かのように思われる現象かもしれないが、「良好な住環境の創出」という国を挙げて取組まなければならない政策において、住まいの低価格化は逆行している展開といえる部分もあるように思えてならない。少し待てばまだ安い物件が出てくるようなデフレ傾向が強まっているが、価格だけで住まいの購入を考えるべきものではないということを消費者もよく考えておくべきではないだろうか。
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