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No.133 工業化住宅メーカーのデザイン優先住宅  (10/4,2002)  美里学

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 某大手住宅メーカーの新商品の新聞広告から。

 「スランティング・ルーフ(片流れ屋根)の凛としたスタイリッシュな外観。室内はギガ・ボイド(大吹き抜け)、シースルー階段を利用し、間仕切りのないオープン空間。そして、過剰な装飾を排除して、できるだけシンプルな設計に徹する。家具や収納、部屋も将来の暮らしに合わせ、少しずつデザインして付け足していく。そんな発想から生まれた、新感覚の住まい・・・省略・・・」

 住宅メーカーでもこんなことができるということをPRしたいためか、デザイン性の高い住宅商品の商品化を行なう工業化住宅のメーカーが出現してきている。

 他のプレハブメーカーのホームページでも有名建築家との取り組みを「かっこいい質の高い住宅を、安く、お客さんに満足してもらえる価格で供給できるように・・・」と紹介しているが、建築家の個性を活かしながら様々な顧客のニーズにも応える住まいを工業化住宅として展開するメリットはどうも見出せない。

 また、ホームページの最後にはこの取り組みに対して「魅力のある工業化住宅を実現できるのを、とても楽しみにしています。」と今までの工業化住宅には魅力がなかったかのような担当役員のコメントが紹介されているが、実は現状の工業化住宅でも図面さえ書き足せばセンスのよい外観やインテリアも十分に可能なのである。ただ、住宅を商品として取り扱う住宅メーカーには、その打合わせの手間、標準以外の設計や施工を嫌う体質があるため、ひとつの商品アイテムとしてデザイン優先の住宅を開発しなければならないのであろう。

 プレハブやユニット工法のような工業化住宅というのは大量生産、大量販売には適し、新規着工戸数が右肩上がりの時代にはそれなりの意義はあったかもしれない。しかし、着工戸数が減少し住宅供給の意義そのものを考えなければならないような状況下で「デザイン優先の住宅商品」にどんな意味があるのだろうか。

 それに、一体どれだけの人が「生活デザインを楽しむ住まい」を住まいこなすことができるというのだろうか?例えばモダンなインテリアデザインを活かすために機能よりもデザインを優先した家具、カーテン、家電製品等を選ぶことができるだろうか?また、部屋の使い勝手よりも外観デザインを優先することができるだろうか?おそらくそのような人は現状ではごく一握りといえるのではないだろうか。そして、そのような人なら何らかの制限が付きまとうだろう工業化住宅で納得できるとは思えないのである。

 住宅メーカーが新しい住宅のスタイルを追求することは当然のことかもしれないが、最近の若い購入者を意識しただけのようなデザイン優先の住宅商品であれば、時間の経過と共に時代遅れの建物となることは間違いないといえるのではないだろうか。■


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