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No.139 住宅事業に見られる変化  (12/27,2002)  美里学

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 住宅メーカーが行う分譲住宅事業の手法が一昔前の形態に戻りつつある。

 バブル景気の分譲住宅は建物が建つ前、或いは建設中に販売がかけられることが多かった。この販売方法では分譲住宅でありながら完成物件の実物を確認することができないという問題点があったのだが、土地が値上がりしていたバブル景気ということもありそれでも売れてきた。

 ところが、バブル景気のピーク時ごろには「街並」という住環境にも関心が持たれるようになり優良な物件ほど完成販売として売られる傾向が強くなってきた。そして、良好な住環境と建物の質の両方を確認する意味においても完成販売という形態がバブル崩壊後も長く続いてきた。

 それが、最近ではまた未完成販売が主流になりつつある。理由は、企業が保有あるいは事業用に購入した用地を値下がりしない間に少しでも早く高く売ること、そして早く契約してもらい売上を計上したいという供給側の都合がある。それに加え、分譲住宅でありながらある程度の要望にも応えられるというエンドユーザーサイドの希望をあたかも満たせるかのような早仕立てもできるからなのである。

 また、それをいいことに購入希望者も様々な注文をつけてくる。その中には建物の外観やエクステリアに関するもので街並景観を変えてしまうような無理な注文も当然のように要求されてくる。例えば、自分の好みに合わせて建物デザインや駐車場の位置変更や材料の好き嫌いを要求したりする。そのことで全体のバランス(街並景観)を壊してしまうことになろうとも、それでも今は営業マンが契約欲しさに無茶な要望でも簡単に了解してしまうような状況なのである。例え確認申請の出し直しにはならないような軽微な変更であったとしても全体を考えた景観計画にとっては大きな 影響を与えることもある。

 今、景気の悪さから建替需要の減少により新規着工戸数も大幅に減り住宅メーカーは大ピンチにたたされている。特に、プレハブメーカーのような大量生産型のメーカーは住宅を商品として取り扱っているだけに、エンドユーザーに個性を打出しにくい分、何とか分譲事業で1次取得者をターゲットに売上げ数字を確保しようとしている。要するに供給側の売上を維持する為の苦肉の策として未完成販売の分譲事業が増えてきているのである。

 最近の分譲住宅は、以前の建売のイメージからは随分良質な物件が増え、質の悪い注文住宅よりも余程まとまっていると感じられるようになってきた。しかし、それを変更してまでも購入しようとするエンドユーザーと売上を上げたいがために変更を了解する営業マン。そんな設計者を抜きにした会話は場合によっては入居後に後悔することになることをエンドユーザーはよく認識しておく必要があると思う。

 着工戸数が低下する住宅業界はこれからが正念場といわれているが、将来今ある業者の半数で事足りるともいわれる現状を、目先のことにとらわれる事なくよく考えておく必要があるといえるのではないだろうか。


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