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No.152 植木屋さんの仕事に学ぶこと  (7/11,2003)  美里学

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 最近「スローライフ」という言葉をよく耳にするようになって、以前朝日新聞の天声人語に紹介されていた植木屋さんの仕事ぶりについて思い出した。

 ちょっとはさみを動かしては煙草に火をつけ一服する植木屋さんに、施主が「どうかしたのか」と訪ねる。「いや、ときどき遠くから庭全体の出来具合をゆっくり眺めないといい仕事にならないんだ。細かいところばかりに頭を突っ込んでいたら見えるものも見えなくなるんだ。・・・」と。

 確かその次の日だったろうか?仕事のゆっくりな植木屋さんに対しての意見で「僕のおとうさん(植木屋さん)の仕事は大変早いです。でも、それは切り終わった状況が頭にうかんでいるからです。また、切り終わった状態は完成した形ではありません。木がある程度伸びた状態を想定して切っているのです。・・・」という手紙が紹介されていた。

 緑を扱う仕事は、相手が生き物だけに大変難しい仕事といえるが、どちらが良くてどちらが悪いということではなく、どちらも庭全体のバランスのことや将来どうなるかを考えた仕事をしていることが本当の意味で顧客のニーズに応えているといえるのではないかと思うのである。

 さて、住まいを扱う者も同様、単純に顧客に言われたニーズだけに応えようとしていると肝心なことを見落としかねない。例えば、キッチンを例に上げると「キッチンは対面キッチン」といった顧客の言葉(ニーズ)に単純に応えたとしても、だからといってコミュニケーションの生まれるスペースになるかといえば、決してそうとはいえない。

 「コミュニケーションの生まれる住まいを・・・」というニーズから、キッチンはどうしよう、リビングはどれぐらいの広さが必要か、という具体的な話につなげなければならないと思うのである。

 住まいも家族の成長による生活スタイルなど将来の変化のことまで考えてつくるのなら「住まいは生きもの」という気持ちで、住まい手、つくり手共に取組まなければならないといえるのではないだろうか。

 ところで、仕事の早い方の植木屋さんには新規のお客さんの場合でも翌年には必ず注文がくると紹介されていた。そのときは切りすぎではないかと思われても結果的には顧客のニーズを満足させた仕事をしているのである。

 住まいを計画する場合にも、間取りだけではなくインテリアやエクステリアを含め、将来のライフスタイルの変化をじっくり考えなければ「スローライフ」もあったものではないのではないだろうか。


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