-
ハビタット
HABITAT

* CONTENTS *

feature articles
〜特集のページ〜

住まいにひとこと

特選オンラインショップ

Q&A

こんなモノが欲しい!

HOME


(株)メディアフォレスト
habitat@mediaforest.com
 
[メニューへ戻る]




No.163 屋上緑化〜都市は緑に飢えているを読んで(その一)  (12/14,2003)  可部篤

ご意見はこちら

 ・屋上緑化は環境保全にはなりません…その1…省エネ効果はありません

 屋上緑化は終わる気配を見せていない。環境保護に名を借りた制度需要であることがまだ理解されていないようである。単なる景観鑑賞型の屋上緑化なら制度化する必要はさらさらない。東京都のように設置を義務化するならはっきりした効果を公表しなければならない。

 まず、屋上緑化は白神山地のように成長し続ける森ではないので、木にセルロースとして炭素が固定され続けることはない。枝を切ればいずれ炭酸ガスに戻るので、炭酸ガスを吸収するという点では地球温暖化抑制効果は何もない。

 横浜国立大学の深井助教授は、断熱していない屋根の上に、断熱材でできた箱を載せそれに土と植物を植えて「屋上緑化に省エネ効果がある」と建築学会で発表している(建築学会2002,夏梗概集 NO.41061)。断熱していない例えばトタン屋根の上に湿った土を載せ木を植えれば省エネになることは、水を撒くのと同じで当たり前の事である。もっとひどいのは、屋上緑化したら屋根の表面温度が下がった。だから省エネになると報告している例である(横浜市環境科学研究所・所報26号など)。冷蔵庫の表面が冷たければその冷蔵庫は省エネ型だとでも言うのであろうか?十分断熱された屋根なら表面温度が多少下がったとしても省エネになるものではない。

 このように、断熱していない屋根に屋上緑化を施工した場合のデータや、施工時の温度測定結果だけを出して、さも普通のビル(屋上が断熱されている)でも省エネ効果が出るという言いくるめが横行しているようである。屋上緑化したビルと、そうではないビルのエネルギー消費量の差をきちんと調べたデータが公表されていそうであるが全く出ていないのである。その理由は、普通のビルの屋上は建築基準法でたっぷり断熱するよう決められているので、いくら測定しても効果が出ないからである。(和歌山大学で実際の建物で省エネ量を測定した例があるが、その値は極小さかった由)

・屋上緑化は環境保全にはなりません…その2…屋上緑化の維持はだれがやる

 普通に市販されている物には全て保証が付いている。屋上緑化には保証が付いていないと言うと不思議に思う人が多いが、実はそれが普通なのである。こんな話を聞いた。Aビルの屋上緑化を施工して竣工検査を受けたら直ぐにこれを剥がして、Bビルの現場に移設するというのである。これは話だけであろうが、植木屋は普通1年間の保証(枯れ保証という)をする。地植えなら1年枯れなければその後も生き続けると考えられるから1年の保証で十分なのであろうが、屋上はそうはいかない。

 数年おきに太平洋岸や瀬戸内地方は干ばつに襲われている。十分潅水すればまず植木は枯れるものではないが、干ばつが来たら(東京都水道局の節水要請に逆らって)誰が冠水するのであろうか?もし枯れたら誰が元に復旧するのであろうか?復旧しようとしなかった場合はどんな罰則が適用されるのであろうか?

 現に、自動潅水装置が付いている屋上緑化でも相当枯れているし、どんなハイテク装置を装備しようが雨水だけで干ばつを乗り切れた実績は無い。岡本太郎美術館(川崎)の屋上緑化も枯れた。中には枯れたままほったらかしにして屋上雑草公園(キオソープ)に切り替えたところもある。(八王子・長池ネーチャーセンター…日経アーキテクチャーの表紙に紹介されたことがある)
次回(その二)につづく

==筆者紹介=====================================================
 緑化コンサルタント、62歳、男、神奈川県在住。
http://club.pep.ne.jp/~kabeastu/index.html ----------------------------------------------------------------

ご意見はこちら




▲TOP