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No.178 ある市町村のバリアフリーマニュアル (7/23,2004) 美里学
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知人から某市が発行している「生活者にやさしいすまいづくりのために」と題した、住まいづくりのありかたを指導している住宅設計基準なるものをみせてもらった。「生活様式が多様化する中で生活者の視点に立った街づくりや住まいづくりのために必要なマニュアル」と冒頭に市長の言葉も記されている。
いいものをつくろうという意味でのマニュアルには条件のきびしさも必要で、その当たりは内容的によくまとめられている資料と感じた。しかし、市町村など行政側が資料を制作して誘導基準とし、市民や事業者に義務づけるものではないとしながらも、同市の住宅供給公社の住宅設計競技など公的事業には設計条件として義務づけられているケースもあると聞く。
【住まいにひとこと No.046公的機関の住宅設計条件参照】
ここで問題だと感じたのは、行政が公募し実施する設計競技であっても、最終的には当選した企業の責任で販売する事業に、必要以上に多くの条件をつけさせることが適正かどうかということである。最近では住宅メーカーにおいてもバリアフリーについて基準を設け、住宅金融公庫の融資を受けた工事を実施するなど前向きな姿勢もみられる。
確かにレベルの低い業者も存在するのは事実で、そのような業者への指導という意味では行政としての基準は必要かもしれないが、民間と協力して事業を行うという意味でも行政側で過剰な条件を義務づけるのはいかがなものかと思うこともある。
また、この基準の作成者を見るとマニュアル作成委員会として建築系大学教授、大手ハウスメーカー、大手住宅建材メーカー、福祉事業団らの関係者による執筆・編集になっているが、公的マニュアルとしては少数の限られたメーカー担当者による制作ということに本当に公平で適切な内容かどうか疑問を感じる節もあった。
良好な住環境を供給していくことは行政にとっても重要なことであるが、全ての住宅において車椅子を配慮した廊下幅や開口部の有効寸法等を義務づけるのは、過剰設計ではないかと思うこともある。
「夫婦共稼ぎの住まい」や「子供が安心して住める住まい」というようなコンセプトを具体的にした住まいづくりの方が魅力的だし、内容的にもより充実したものができるのではないかと思う。
もちろん老後のことは考えておく必要はあるのだが、旧都市基盤整備公団や住宅供給公社が行ってきたような、個性のない画一的な住まいを、今日のように多種多様で変化していくライフスタイルに対応していかなければならないユーザーが、必ずしも望んでいるわけではないことを関係者は認識しておくべきではないかと思う。
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