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No.213 2006年これから  (1/22,2006) 美里学

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 昨年話題になった「耐震強度偽装事件」では、1級建築士という技術者が確認申請に必要な構造計算書を改ざんして問題になったが、元請の設計事務所や検査機関、建設会社や施工業者にわたり、その不正が本当に見抜けなかったのだろうか?

 ずさんな元請の設計事務所や検査機関が見抜けなかったとしても、おそらく工事を行った現場の技術者や職人は、建物の規模に対して「鉄筋量が通常よりも少ない・・・」ということはきっと分かっていたはず。ただ、それを意見できる環境がなかったのだと・・・。

 さて、毎年元日の新聞に掲載されている大手企業の広告を楽しみに見ている。昨年の元日を思い起こせば、「幸せや思い出」、「防犯」や「個性」という言葉が用いられていたが、今年の大手企業(住宅、車、家電等)の広告では「環境」「安心」「安全」「健康」という言葉が多く用いられていた。もはやこれらは企業倫理として避けて通れるものではなくなったといっても過言ではないだろう。ただ、厄介なことにこれらは企業にとってコストや時間のかかる難儀なものばかり。

 知人に見せてもらったある大手住宅メーカーの1月の社内報には、新年号ということもあり、役員の挨拶が紹介されていた。会長や社長は広告同様やはり「環境」「安心」「安全」「健康」といった企業倫理について述べていたが、会長・社長以外の役員においては、売上や経費、品質やブランドという実務を意識した言葉が多かった。

 会社である以上は、収益を上げ株主に還元することが経営陣としての任務かもしれない。ただ、そこで働く一般社員が倫理を軽視するような状況に追い込まれるような言動が、根強く企業風土として残っていたとすれば、「耐震強度偽装事件」ではないが、企業の信頼を足元からゆるがすような事件や事故が、今後もまだまだおこる可能性は高いと思う。

 最近の企業の不祥事には技術に関連したものが増えてきているが、企業風土に振り回されることなく、技術者がプライドを持って仕事ができるような環境づくりにも取組んでいくことが、今の日本の企業には求められているのではないか・・・そう思うのだ。


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